もっと、褒め合おう
ひと、ほめてますか。
ほめてなくない?
最近、だれほめた?
思い出せないでしょ。
逆に、最近だれにほめられた?
思い出せないでしょ。
そうなんだよ。我々はほめなさすぎる。
そして、ほめられなさすぎる。
お互いほめ合う習慣ができたら、もっとうまくいくと思うんだけど、どう?
****
わたし、病院給食をつくってるいわゆる給食のおばちゃんなんだけど、今年の2月に会社都合で札幌から岡山に異動したんだよ。
新しい現場で割り当てられた仕事は、病院給食の中でも特に細かい、嚥下食をつくるポジション。
嚥下食は、歯がなかったり、飲み込むちからや唾液の分泌が減ってしまったような、食べるのがうまくない人のための食事ね。
煮こごりのように固めたり、飲み込みやすいようペースト状にしたりするの。
例えば、こんなもの。
これはゼリー食の八宝菜で、テリーヌみたいに固めてる。
ピンクのが豚肉、緑が白菜とピーマン、赤がにんじん。
色ごとに鍋分けて、おいしく煮て、ミキサーにかけて漉して、固めるための粉入れて、火にかけて冷蔵庫で冷やして、やっと固まるのよ。
この八宝菜は3色にしたから、一連の工程を3回やってやっと出来る。
うまく食べられない人のための食事だから、固さや粘度は結構シビア。手間がかかる上に神経も使う。なかなか骨が折れるでしょ。
その嚥下食をつくるのと同時進行で、ほかにも細かいやることがたくさんある。覚えることもたくさんある。
とにかく、結構忙しいのよ。
わたしは、この嚥下食のポジションを、3日間で引き継ぎして独り立ちしたのね。
朝5時始業だから、毎日朝3時半に起きてごはん食べながら前日とったメモ読んで予習して、退勤して家帰ったら今日とったメモまとめて復習して。
引っ越しからも着任からもそんなに経ってなかったから、生活も人間関係も手探りしながら。
独り立ちしたってすぐに100%できるわけじゃないから、どうしたらうまくいくか、どうしたら効率良くなるか考えて、考えたら翌日試してみて、また考えて、結果1週間で満足のいく形でルーティンに落とせた。
ちょっと、自分やるやん、って思った。
でも周りも上司もノーコメント。
真面目に考えて早めにマスターしたつもりだったし、おかげでシフトにも余裕が生まれたはずなんだけど、早いとも遅いとも、要望も言われなかった。
だから、わたしが思うより簡単なポジションなのかな〜、なんて思ってたんだよね。
でもある日、わたし役に立ってるのかなってふと疑問になってしまって。
わざわざ北海道から岡山に大金かけて来て、誰でもできる仕事してるのって全然意味なくない?と思って。
友達も住み慣れた環境も手放して引っ越して来て、誰でもできる仕事してるわたしって何?って。
そう思ったらすごく辛くなった。
全然頑張った意味ないじゃん、存在価値ないじゃんって。
で、聞いたんだよ、先輩にさ、わたし役に立ってます?って。
そしたら、いやいや、もうすごく助かってますよ!上手に作ってくれるし!って言われて。
え?なら早く言えよ。
もし独り立ちしたときに、早いね!って
嚥下食作れたとき、上手にできたね!って
いつも助かってるよ!って、言ってくれてたら、
わたしつらくならなくて済んだし、モチベーションもあがってたよ
そしたら仕事も、もっと早くから明るく楽しく取り組めたじゃん…
****
そう思って、最近はわたしからがんがん人をほめるようにしてる
でもいざほめようと思うと難しい
ぱっと言葉がでないときがある
だから会話におまけできるような、手軽でわかりやすい語彙をストックし始めた
おっけー!
ばっちり!
最高!
天才!
これはこうでいい?と聞かれたときに、そうです、と一言だけで済ますんじゃなくて、
おっけーおっけー!って言ってみる
そうです、ばっちりです、って言ってみる
そうです、天才!って言ってみる
なんか安心しない?
これでいいのかな、合ってるかなって不安が、ほめ言葉ひとつで消えるんだよね
不安が消える、間違ってない、自分のしたことに意味があるって思えるの、めちゃめちゃ自尊心が高まると思う
だからもっと、みんなほめあおう。