雑文集

遊動民の日記。東京→札幌→博多→岡山→東京(イマココ)

夜の台所で。

 

早朝5時からの勤務で疲れて帰った夕方、わたしのために夕飯をつくって待っていてくれた同居人に構わず、風呂にも入らず寝てしまった。

 

起きたら21時で、今度は同居人が寝に入るところだった。じゃあわたしはお風呂に入ってからまた寝ようかなあなんてシャワーを浴びたら、まあ案の定なんだけど、覚醒して眠れなくなってしまった。

 

濡れた髪のまま水を飲みに台所にいったら、ガスコンロの上に同居人が作った晩御飯があるわけですね。

野菜と卵の中華スープに、焼き飯。

 

すでに冷めているのに台所にはまだいい匂いが漂っていて、特別空腹というわけでもないのに、おおこれはこれは、せっかくなのでいただきますか、という気になり、椅子と本を1冊台所に持ち込んで、ワンルームのベッドで寝ている同居人に遠慮してシンク上の蛍光灯だけ点けて、遅い晩御飯を開始したわけです。

 

あての本は椎名誠氏の食べ物に関するエッセイ集で、冬の朝の白菜の漬物がいいとか、夏の井戸水で冷やしたトマトがいいとか、そういうことを云々した大変平和なやつ。蛍光灯の下でこれを読みつつ冷めたままのスープと焼き飯をゆっくり食べていたら、なんだかしみじみと良かったですね。

 

すでに寝ている家族に憚って薄暗い中作り置きのものをひっそり食べるというのは、残業ばかりで夜遅く、妻もその帰りを待ってくれない悲しいサラリーマン…という旧式のテンプレ的イメージがあるけれど、いやいや、これは実は、晩御飯を作っておいてくれる妻と、寝静まった家族を思って暗い台所で静かに食べる旦那とで、双方の思いやりが描かれている大変美しい図式なのではなかろうか!

 

 

……とかなんとか考えているわたしはただ夕寝をしちゃっただけなんだけど。

 

 

独り身でいつでも誰にも関係なく電気を煌々と点けられるというのも、それはそれで虚しいもんなのよ。

 

 

一人暮らしが長く、また近々異動のために同居人とも離れるので、身近に人がいてくれるというのは本当に有り難く思います。

 

スープと焼き飯、大変おいしゅうございました。

 

 

 

では頑張って寝ます。

みんなも頑張って寝なね。おやすみ〜