平穏はここにある。南千住の旅館「御宿ちよだ」がすごく良かった…
少し用があって東京にいました。
で、泊まった宿が大当たりだった。
南千住にある、「御宿ちよだ」。
この佇まいはどうですか、実にいい…
HPによると古民家を改装して旅館にしたそうな。
南千住駅から歩いて3分くらいの路地裏に、民家と混じってぽつんとある。
仕事の用事だったので経費で落とせる今回の旅費、こっそり贅沢をして広めの部屋にしました。
スーペリア和室というやつ。
文豪になってここに缶詰にされたいと思わせるいい机だ…(道中三島を読んでいたので影響されている)
部屋のすみには人をだめにするビーズクッション。
発見即吸い寄せられてだめになったわたしは、文豪にはなれない。
ビーズクッションから離脱したらしたでウェルカムスナックの栗饅頭と六方焼きでお茶してしまった。
こんな呑気な缶詰状態があるか。文豪どころか物書きにすらなれない。
お菓子で血糖値上がってテンションも上がる呑気なばか。
ここで突然ですがトイレです。
基本トイレ共用らしいんだけど、スーペリア和室は室内トイレ付き。綺麗ですね。
シャワールームも基本共用。
廊下にある。
でも、ですね。
別に貸切風呂があって、これが信楽焼という陶器の湯船で、そして30分200円で利用できるということだったので、
わたくし、1時間半も借りてしまいました。
しかもHPから直接予約したわたしは30分無料サービスが適応されるとのことで、お支払いは1時間分で400円。
地方のちょっとした旅館で貸切風呂を借りると結構いい値段するので、すごく安く感じる。
そんなちよだの貸切風呂がこれ。
いやーいいですね。
こぢんまりしてるんだけど小さいとか狭いとかではなく、必要最低限という感じでとても良かった。
なんというか、適切であった。
1時間半も借りてしまって持て余すかなと思ったけど、居心地がよくて時間たっぷり居座りました。
1階にはパブリックスペースというか、ちょっとしたくつろげる空間が用意されている。
東京で活動している若手のアーティストの作品のギャラリー的役割もあるらしくて、作品や名刺が置かれている。
奥にはミニキッチンがあって、インスタントコーヒーや紅茶も常備。
全体的にばっちり和風なんだけどそれに固執しておらず、洋式トイレにシンプルなシャワールーム、電気ケトルにミニ冷蔵庫、珪藻土のバスマット、ビーズクッションと、普通に利便性を考えたらこうなりました、という感じでたいへんよい。旅館としてもビジネスホテルとしていいと思う。
あと注意書きやお知らせのような張り紙の類が殆どないのがとても良かった。
旅行に行くと、名産品のあれを食べろ、地酒を飲め、あの観光地へ行け、土産はこれを買え、いやこれだ、とたくさんの物や情報を摂取するはめになって結局疲れたりするじゃないですか。
宿もグルなわけだからあれやこれやの宣伝広告、それに加えて室内の注意書きやサービスのお知らせをばんばん館内に散りばめていて、客側はそれらを無意識に読んで情報処理し続けてたりすると思うんですよ。これは結構疲れる。
御宿ちよだはそれがない。
余計な情報がない。
なんと時計もない。
なんにも考えないで済む。
どうもこれが疲れず穏やかに居られる理由らしい。
今回わたしは用事のための調べものがあってスマホを手放せなかったのだけど、もったいなかったですね。
スマホもパソコンも持たずに本だけ何冊か持って泊まりに来たい。
しかも物理的にも静かで、線路も民家も近いのに騒音はもちろん環境音も殆どしない。
平穏はここにあったか、南千住。
下手にお金と体力使って遠出して疲弊するくらいなら、南千住でゆっくり読書でもしたほうがよっぽど慰安になりそうですよ、関東圏各位。